北のいわしノート

21世紀の青島幸男(政界以外)を目指している七代目立川談志かぶれの戯言

シルヴァース:『ジャクソン5を超えた9人』

「シルヴァーズ」って9人もいる大所帯ながら息がぴったりなのだけれど、この中での血縁関係とか夫婦関係とかってどんな相関図になっているのだろう。

素朴な謎からこの話は始まる。

ブギー・フィーヴァー

ブギー・フィーヴァー

  • シルヴァーズ
  • R&B/ソウル
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

メンバーが多い分、分析考察もすごいボリュームになってしまった。

いわゆる「オールディーズの中におけるグループもの(特に兄弟姉妹もの)が好きな方」には読み応えのある記事に仕上がったと自画自賛している。

もはや「ブログ記事を超えたムック状態」とも言えるので、覚悟してお読みいただきたい。

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シルヴァーズ(The Sylvers)は、アメリカのファミリー・ソウル/R&Bグループで、家族全員がメンバーという珍しい形態となっている。

もともと”Sylvester家”の兄弟姉妹で結成されたグループなので、メンバー全員が血縁関係にあるのという驚きである。

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シルヴァーズの家族関係(相関図的な説明)

シルヴァーズのメンバーは、ジョセフ & シャーリー・シルヴァー(Joseph & Shirley Sylvers)夫妻の子どもたち 、9人もいる大所帯だが、全員が兄弟姉妹なのである。

  • 長男:レオン・シルヴァー三世(Leon Sylvers III)
    → グループの中心人物で、プロデューサーとしても有名
  • 次男:ジェームズ・シルヴァー(James Sylvers)
  • 三男:エドマンド・シルヴァー(Edmund Sylvers)
    → 彼はリードボーカルとして活躍したけれど、惜しくも2004年に亡くなった
  • 四男:リッキー・シルヴァー(Ricky Sylvers)
  • 五男:アンジェロ・シルヴァー(Angelo Sylvers)
  • 長女:シャーメイン・シルヴァー(Charmaine Sylvers)
  • 次女:オリンピア・シルヴァー(Olympia Sylvers)
  • 三女:パトリシア "パット"・シルヴァー(Patricia "Pat" Sylvers)
  • 末っ子:フォスター・シルヴァー(Foster Sylvers)
    → 彼は「Misdemeanor」というソロヒット曲も出している

つまり、彼らは全員が兄弟姉妹で、夫婦関係ではない、完全なファミリー・バンドなのである。

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ちなみに・・・

長男のレオン・シルヴァー三世は、その後 SOLAR(Sound of Los Angeles Records) の看板プロデューサーになって、シャラマー(Shalamar) や ウィスパーズ(The Whispers) などのサウンドを作った。

なので、シルヴァーズだけではなく、80年代のR&Bやファンクに大きな影響を与えた人物でもある。

シルヴァーズのあの息の合ったハーモニーは、やはり血のつながった兄弟姉妹だからこそ生まれたものなのかもしれない。

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シルヴァーズには双子の姉妹までが存在する!

オリンピア・シルヴァー(Olympia Sylvers)とパトリシア "パット"・シルヴァー(Patricia "Pat" Sylvers)の二人が双子の姉妹なのであった。

ただ、二人はグループのメインボーカルとしてはあまり前面に出ておらず、特にパットは途中から加入した。

それでも、シルヴァーズのハーモニーを支える大事なメンバーなのである。

シルヴァーズのあの完璧なコーラスワークには、こうした兄弟姉妹ならではの息の合い方が活きているのかもしれない。

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ジャクソン5のような空中分解もあったのか?

シルヴァーズも、ジャクソン5ほど劇的ではないが、やはり家族グループならではの分裂や衰退は経験している。

完全な「空中分解」とまではいかないが、やはり兄弟姉妹の間でも意見の対立やキャリアの方向性の違いがあったようである。

シルヴァーズのグループ崩壊の流れ

〜黄金期(1970年代前半〜中盤)〜

「Boogie Fever」(1976年)などのヒットを出して人気絶頂に。

R&Bだけでなく、ディスコ・ポップの流れにも乗って成功。

〜衰退(1970年代後半)〜

グループの主要作曲者だったレオン・シルヴァー三世が音楽プロデューサー業に専念し始める。

これが大きな転機になって、グループの音楽的な方向性が不安定になっていく。

  • メンバーの間にも意見の食い違いが生まれる
  • バラバラになる(1980年代)
  • グループとしての活動が減少
  • それぞれソロ活動や音楽制作の仕事に移行
  • レコード会社の支援も弱まり、商業的に低迷
  • 一部のメンバーは音楽業界を引退
  • 再結成と復活の試み(1990年代〜2000年代)

何度か再結成の試みがあったが、ジャクソンズ(ジャクソン5の再編成)のような大々的なものにはならなかった。

一部のメンバーはゴスペル音楽やプロデューサー業など、個々の道を進むことになった。

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ジャクソン5と異なる点

ジャクソン5のような劇的な「独立騒動」はなかった

ジャクソン5モータウンからの独立、マイケルのソロ転向などで大きな対立があったが、シルヴァーズはそういう派手な対立はなかった。

マイケル・ジャクソンのような超スターがいなかった

シルヴァーズは「グループの調和」を重視していたので、1人だけ突出した存在がいなかった。

レオン・シルヴァー三世の方向転換が決定打になった

レオンはプロデューサーとして成功したが、これはグループとしてはマイナスに働いたのかもしれない。

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シルヴァーズは「自然消滅型」の解散

ジャクソン5のような派手な分裂はなかったが、リーダー格のレオンが別の道を選んだことで、グループとしての活動は減少に向かった。

結果的に、1970年代後半から徐々にフェードアウトしていった、という形になってしまった。

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両親:ジョセフ&シャーリー・シルヴァー夫妻とは?

父:ジョセフ・シルヴァー(Joseph Sylvers)

詳しい情報は少ないけれど、音楽活動をしていたという話はあまりない。

ただ、子供たちをしっかり支え、家庭を音楽で満たす環境を作った立役者なのは間違いない。

母:シャーリー・シルヴァー(Shirley Sylvers)

こちらも音楽業界の有名人というわけではないが、家族の精神的な支柱だったのは間違いない。

子供たちの音楽教育に深く関わっていたと言われている。

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この夫婦のすごいポイント

  • 子供を9人も育てつつ、全員を音楽の道へ導いた
  • 9人兄弟全員がプロとして成功する確率なんて、普通ならありえない
  • それを実現したのは、家庭環境がとても音楽的だったからなのかも
  • 子供たちに「ハーモニーの美学」を教え込んだと想像できる

シルヴァーズの最大の魅力は、兄弟姉妹ならではの完璧なハーモニーである。

これが自然にできるのは、幼い頃から一緒に歌い続けていたからであろう。

「教育」と「家族の絆」を重視していた

ジャクソン家とは違って、父親が「厳格すぎる管理者」にならなかった というのもポイントであった。

子供たちに音楽の道を与えつつ、そこまでギラギラした「成功至上主義」にはならなかった という印象が感じられる。

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ジャクソン家とシルヴァー家の違い

シルヴァーズ vs ジャクソン5

  • 父親の影響:ソフトな支援者 vs 厳格なマネージャー(ジョー・ジャクソン
  • 音楽スタイル:ソフトなソウル & ハーモニー重視 vs ダイナミックで個性強め
  • メンバーの方向性:みんなで成功を目指す vs マイケルが突出
  • グループの終焉:自然消滅 vs 対立しながらの分裂

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ジョセフ&シャーリー夫妻は「愛と音楽の教育者」

この夫婦は、音楽を通じて家族の絆を深めることを何よりも大切にしたのであろう。

だからこそ、ジャクソン家のような対立や確執があまり表面化せず、平和的にグループの歴史が進んだのかもしれない。

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<<付録1>>

さらに掘り下げたい方向け。

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シルヴァーズの幼少期の音楽的背景

家庭での音楽教育が中心

シルヴァーズ家は、明確に「教会の聖歌隊で育った」という情報はないが、家庭内での音楽教育が徹底していたのは確かなようだ。

幼い頃から家族全員で歌う習慣があったらしいのが結果的に、ゴスペル的な「コーラスのまとまりの良さ」につながったのではないだるか。

ゴスペルの影響はあるが、純粋な「教会音楽」出身ではない

彼らの音楽スタイルには、明らかにゴスペルの要素があるが、それは教会の聖歌隊で鍛えられたというより、ソウルやR&Bのスタイルの中で自然に身につけたものだと考えられるる。

実際、シルヴァーズの曲は宗教的なメッセージよりもポップでキャッチーなラブソングやダンスチューンが中心である。

しかしながら、兄弟姉妹ならではの息の合ったハーモニーや、心地よいコール&レスポンスには、ゴスペルの影響を聞いた人は感じるであろう。

長男レオン・シルヴァー三世の音楽的リーダーシップ

レオンは後にプロデューサーとして活躍するが、彼の編曲センスには教会音楽のようなコーラス重視のアレンジが見られる。

例えば、「Boogie Fever」や「Hot Line」なども、ポップで軽快ながら、コーラスワークの作り込みはかなりゴスペル的である。

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讃美歌隊の経験は明確ではないが、ゴスペル的な要素は強

幼少期に教会の聖歌隊で活動していたという明確な記録はない。

しかし、家庭内での音楽教育や、ソウル・R&Bの中で自然にゴスペルの影響を受けた可能性が高いと思われる。

兄弟姉妹で長年歌い続けたことで、まるで聖歌隊のような完璧なハーモニーが身についたのではないだろうか。

つまり、シルヴァーズの音楽には「教会での聖歌隊経験」というよりも、家族ぐるみで培ったゴスペル的なハーモニー感覚が色濃く反映されている。

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<<付録2>>

コーラスグループとして見たなら?

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シルヴァーズのサウンドは、ジャクソン5よりもスプリームス(The Supremes)寄り と言えるポイントがいくつかある。

ジャクソン5よりも「洗練されたポップ・ソウル」寄り

  • ジャクソン5の初期は、どちらかというとエネルギッシュでダイナミックなファンク&R&B
    → 例:「I Want You Back」「ABC」など、マイケルの強烈なリードとファンク色の強い演奏。
  • シルヴァーズは、もっとスムーズで洗練されたハーモニー重視のサウンド
    → 例:「Boogie Fever」「Hot Line」など、クールなコーラスワークと流れるようなメロディ。

この「洗練されたポップ・ソウル感」は、まさにスプリームスの持っていた雰囲気に近いといえる。

  • シルヴァーズは「グループ全体の調和」を重視
  • ジャクソン5はマイケル中心のダイナミックなボーカルが特徴
  • 兄弟全員が歌うものの、基本的にマイケルが目立つ構成が多い
  • 一方で、シルヴァーズは兄弟姉妹のハーモニーを生かしたアンサンブル重視

これはスプリームスが持っていた「ディアナ・ロスを中心にしつつも、コーラスワークが美しい」感じと似ている。

モータウン的なアレンジの影響

シルヴァーズの楽曲には、モータウン特有のキャッチーなメロディとストリングスを多用したアレンジがある。

これは、スプリームスの「You Can’t Hurry Love」や「Baby Love」のような、軽快で上品なソウルポップと通じるところがあるとも言える。

実際、シルヴァーズは”Capitol Records”に所属していたけれど、モータウンの影響を受けていたのは間違いないのではないか。

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「ジャクソン5のエネルギー」より「スプリームスの洗練」

ここでシルヴァーズの音楽を聴いて、スプリームス的な洗練された雰囲気を感じるのは正しいと言い切っても過言ではないであろう。

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・・・・・最後まで読んでくださった方へ・・・・・

もしかしたら

ジャクソン5に匹敵する “家族の奇跡” を

もうひとつ私たちは見落としていたのかもしれない

しかしあなたはすでに「真のオールディーズファン」である


▶︎ 著者「北のいわし」について

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